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情景を考える

皆様、新型コロナウイルス(武漢肺炎)のせいで不安な日々をお過ごしかと思います。
私も、軒並み仕事がなくなり、制作の仕事のみになりました。

あまりにも色々なものが中止の憂き目にあうと最初は応対でバタバタになりますが、
落ち着いてくると、逆にポッカリと時間があくのですね(汗)

ニュースを見ても同じようなことしか流れないというのはインスピレーションがどんどん落ちていきます。
なので、久しぶりですが情景をどうやって頭の中に浮かべるかをここに書き記しておきたいと思います。

私が多くのイメージを言葉にしようとして困るのは何故か?
情景は本来、言葉で表すことは難しいのです。
ですが、制作した表現をイメージレベルで共有できると非常に深みのある表現が浮かび上がります。

情景を思い浮かべるのに苦労されている方に是非、オススメしたいのは「ミニチュア」の世界です。
女の子ですとままごと遊びに始まり、大人になっても「ドールハウス」、「ミニチュアハウス」というものにハマっている方がおられます。
男の子ですといわゆるごっこ遊びから始まり、模型製作の延長で「ジオラマ」を作ったりします。

頭の中に浮かんだ情景を紙に描き起こすと「イラスト」や「漫画」になると思ってください。
制作物としてミニチュアモデルとして再現すると「ジオラマ」、「情景模型」なんてものになります。

これは、「奥川泰弘」さんの作品です。
あまりにも再現度が高く、本物の上野のガード下を彷彿させます。
1/35といったスケールでここまで再現するのは至難の業…。
どれだけ研究したのか、どれだけ観察したのか…私も上野のこういった界隈は行ったことがありますので、
本物…?と一瞬見間違えました。
この手法は「ジオラマ」というやり方ですね。
ただ、1/35スケールのプラモデルはあるにはあるんだけれども、ここまでのものはなかなかありませんから
イチから切った貼ったして色に拘ったりしてようやくの完成です。

こちらに奥川さんが作った作品の本をご紹介します。(アマゾンリンクに飛びます)

なお、彼の作品は現在「ランドスケープクリエイション3」まで出版されております。




お次はこちら。
これは「情景師アラーキー」こと「荒木さとし」さんの作品です。
どこにでもありそうな風景を切り取ったものですが…あまりのリアルさにこの人を知ってから結構追いかけてました。
駄菓子屋さんなどどこか懐かしいと思わせるような情景をたくさん作っておられます。
この写真ですと1円玉が本物でそれ以外はアラーキーさんが作ったものなのですよ。
この方も本を出しておられます。(同じくアマゾンリンクに飛びます)

ここまで作るにはもちろん技術も必要ですが、「観察」と「研究」が非常に大きなモノがあります。

プラモデルといえば「ガンダムとかのアレね」というほどに「ガンダム」のプラモデルは有名で、
近所の電気屋のおもちゃコーナーにも置いてあったりするというほどにたくさんあります。
もちろんそのまま塗装などをしなくても接着剤を使わなくても作れるという手軽さがありますが、
ここにリアルを再現しようとすると「破壊され放置されたロボット」ひとつとってもサビの出方や汚れ具合など
戦闘シーンもありますので本物の戦場写真などを参考にリアルさを追い求めるわけです。

私はガンダム(通称ガンプラ)派ではなく、スケールモデラーでして、航空機を専門に作っておりました。
戦車なども勿論。
ただ、こういった機体や車両よりもそれが居たであろう情景、そこに取り巻く人の姿というものがこだわりポイントなんですよね。
そのまま作ってもカッコいいものはカッコいいんですけど、人物が入るとそこには物語が生まれます。

随分、昔になってしまいましたが航空自衛隊のF-4EJファントムをはじめ、
可変翼機というギミックで今でも人気のF-14トムキャット、
空飛ぶ戦車ことA-10攻撃機、垂直上昇ができるハリアー、試作機で終わってしまったX-29など結構多くの機体を作りましたが、
そのうち飛行機そのものよりも人物や機材を配置したりして生き生きとした物語の風景を作るようになっていました。
残念ながら、今のようにデジカメでパチパチ撮れる時代ではなかったので写真は残っていませんが…。

他にも私が乗っていたトヨタスープラ2.5ツインターボR…これはドンピシャなキットはありませんので、
ちょっと古い型のを改造して自分の愛車を再現しましたね。
そして、ガレージを作ってそこに収める形で夢のガレージを作りました。
車に関しては自分の車を何回も観察し、見直したりして出来るだけ近くしようと頑張ったものです。

今なら、TSOで行った「岩手公演」のときは全線開通していなかった三陸鉄道が鉄道模型で出ていますので
我が友「サトケン」くんの住む大船渡市のリアス海岸を再現して全線開通したシーンを作りたいと思っています。
それなりに長い路線なのですが一つの駅を中心に三陸鉄道とリアス海岸(漁港の町)といった情景を切り取るならば
机の片隅にそのシーンを実現することが出来るんですよね。

「トンネルを抜けるとそこは雪国だった」で有名な川端康成の「雪国」の情景もそのシーンだけを切り取るなら大きなものは必要ありません。

このように模型を使っての情景再現を熱く語らせていただきましたが、
リアルに作ろうと思うなら何が必要かというとやはり「観察」と「研究」なのです。
1/700スケールでの私の中で一番好きな「駆逐艦“吹雪”」
ウォーターラインシリーズで喫水線より下を省略したものが出ているのですが全長15センチあるかないかというサイズの船を
青い布の上に置くだけで海を走っているように見えるのです。
でも置くだけじゃ走ってる時に出るはずの航跡や艦首を切り裂く波などがありませんから、
プラバンを色々と波っぽく仕上げて青に塗り、その上に置き、石膏などで航跡と波を作ってしまいました。
阪神の地震の時に壊れてしまって残っていませんが…。
あの当時、波のでき方などを色々な船をもとに研究したことを今でも覚えています。

下手くそではありますので先輩モデラーの諸氏に比べたら子供だましかも知れませんが、
観察と研究を積み重ねると下手なりにそれっぽく見えるものです。

私が手話歌に関して情景を常に頭に浮かべてそのシーンに相応しい表現を目指すのは
やはり、頭の中に浮かぶイメージを如何に手で再現するかなのです。

そのイメージがリアルになっているのは日頃の観察と研究を積み重ねてきたからに他なりません。
プラモデルの世界に入ったのは小学生の頃。
プラモデルは高校生の時でもちょいちょい作っていたのでブランクといえば20年以上あるのですが
観察する癖、納得するまで研究する癖はその時からずっと今までもやってきています。

最初にもいいましたように情景というのを“言葉”にするのは難しい。
でも、こだわって作っていると自然とああ、そういうことかぁなんて分かるものだったりもします。

私の相方はプラモデルを作ったことはありませんが、人間観察やそういったモノが趣味でもあったりしますので
インスタグラムの写真などでどう撮れば今目の前にある美味しそうな料理を切り取れるか
それが非常にうまい。
それが彼女の手話指導や手話の説明、高齢ろう者特有のイメージ重視の表現を日本語寄りの手話表現に通訳したり、
その逆もする上で非常に役に立っているんですね。

文章を追いかけるだけではやはり手話表現も文章っぽい。
しかも、文章を追いかけるというやり方ではイメージは表現できない。
手話の形は動きは同じでも何かが違う。

余計なカッコつけとかの雑念が入るともっとダメ。
今ならサークルが休みだったり、手話歌の練習が休みだったりとで時間は少しでも空いているはずです。
通勤途中に、買い物の途中に、ふと散歩で外に出たりしたときなどでも、
様々な映画を見たりなど「観察」と「研究」のチャンスです。
ミニチュアの風鈴屋とかの屋台作ってみてください。

完成した作品が上手いか下手かはどうでもいいです。
風鈴屋だとその風鈴の音が聴こえてきそうなそんな風にこだわってみてください。
写真を取るのもいいですね。
同じものを撮る位置を変えれば見えてくるものが必ずあります。

どうぞ、みなさんもこういう状況ですけどもポジティブにチャンスだと思って頑張ってみてください。
そうすれば、きっと今まで以上に魅力的な手話表現になるはずです。
私も、今こういうときだからこそ「観察」、「研究」というものを磨きたいと今頑張っています。

久々にエライ長文になってしまいました(汗)
 

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Home >> 手話歌考 >> 洋楽を手話にする試み

洋楽を手話にする試み

最近、依頼された楽曲に「Tears in Heaven/Eric Clapton」がある。
もちろん歌は英語である。

過去の記事に私が訳してみたもの…手話歌用日本語?があったりする。
完全にこれがベストだとは言わないけれど、良いチャレンジをさせてもらったと思っている。

思えば、私はどちらかというと洋楽が好きだったりする。
先日、天野SHOさんにお会いするその前にFLAMEのマスターと話したとき
「君の好きなジャンルは何?」と聞かれてちょっと困った。

カテゴリー分けがあまり良くわかってないから…(汗)
とりあえず、音楽は何でも聴くが一番好きだったのは「Heartbreaker/Led Zeppelin」からかな?と答えた。

中学くらいからだったと思う。
カセットテープの時代に小遣いを貯めて「Led Zeppelin」のテープを幾つか。

同級生は「光GENJI」や「中山美穂」とかそういうのの方。
そんな中で自分だけがハードロック。

今でこそ手話歌を作る関係上、「日本語歌詞」である邦楽をたくさん作ってきたが
これまた、演歌や歌謡曲、J-POPなど幅広い。

歌ならではの表現…国語表現の妙に惹かれ社会人をだいぶ過ぎてから大学に入学。
再入学もして10年居て中退した。
専攻は国文学、日本語日本文学科でした。

手話の世界に入りもう数十年…気づけば手話の言語的可能性などに注目し、
割と“独特”と言われるような表現を紡いできた。

上記、「Tears in Heaven」にて自分としてはまだまだ納得はできてないが
ひとまずは完成させた。

私のテーマソングのようにクルマで何度も流しているのは「Blaze Of Glory/Jon Bon Jovi」
最近の自分の心境に合わせて「The Man Who Sold the World/David Bowie」
他にも幾つかあるがこれらの楽曲を手話で歌うならば音声言語の違いを超えられるのではないか?
これが、私がかねてからずっと温めていた密かな計画。

参考になったのは「埴生の宿」がイギリス民謡であったり、「歓喜の歌(交響曲第9番)」、「Amazing Grace」の日本語カヴァー。
「手話は言語」であるという視点がひとつ、私や相方が経験した「異国交流」(?)による母国の音声言語にとらわれない「国際手話」という考え方から手話歌もまた音声言語の壁を超えられるのでは?と考えた。

まだ準備段階ではあるが何か一つ作ってみようと思う。
元の歌が英語なのでアクセント的な部分や、ニュアンス的な部分に手話をどうするか苦心する部分があることは十分に予想される。
しかし、やってやれないことはないよねという根拠なき自信があるのも事実。

これは「オータム・イン・ニューヨーク」というJAZZナンバーの雰囲気を彷彿させるセントラルパークの写真

 

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Home >> 手話歌考 >> 学びと体験

学びと体験

手話歌は簡単なようで簡単ではない。
歌っているところを見ると簡単に見えるだろう。
だが、産みの苦しみは非常に難産と言わざるを得ない。

苦心点は幾らでも出てくるが簡単に出来たと思えることは今までに一度もない。
仮にすぐに出来たとしよう。

その点を切り取ると「簡単やね」と思ってしまうだろう。
しかし、そうではない。

日々の積み重ねや観察、研究が今自分の力になっているからだ。

誰だったかが言った。

30秒でとても美しい絵を描いた。
そして彼はその絵を渡しながら言った「その絵は100万ドル」です、と。

「そんな、この絵を描くのにあなたは30秒しかかかっていないではありませんか」

そう言われた彼は苦笑いしてこう言った。
「お嬢さん、それは違う。30年と30秒だ」

彼の名は、パブロ・ピカソ。

彼がここまでの作品を作るのに30年という年月を費やしてきた。
故にたった30秒で仕上げた作品であってもその裏には30年の積み重ねがある。

私も…とパブロ・ピカソ氏とは比べ物にはならないが、
長く、追求してきた、積み重ねてきたものがある。

今回、「パプリカ/米津玄師」を手話歌化するにあたって、たたき台(暫定版)のみを作り、
残る仕上げはTSOの皆さんにやっていただいた。

これを通して私が何に拘り、何に苦心し、何を目指しているのかを少しでも感じて頂けたらとの想い。

金額では計れない普段見せず、見えないものが私にはある。

ただ、こういう話もあるんだよね。
「値段がついてしまうとその時から芸術は陳腐化する」と。

本当は金銭的な苦労を考えずに済む環境を作れたら良いのだけど。
そういう訳にはいかないから少しでも売っていく。
生活あるしね(汗)

手を抜かないがために悶え苦しむ。
それを繰り返して今の自分が居る。

国語力や想像力、観察力、その他必要と思うものは何でも取り入れていきたい。
ある意味欲張りかもしれない。
未だにまだ足りないと思っているんだから。

ちなみに「パプリカ」…手話は勿論のこと今回は「キュードスピーチ」も取り入れた。
聴覚障害児が言語訓練(発声)するに当たって使われるのがこれ。
「らるらりら」のところだけでも「キュードスピーチ」を使って練習中の子どもたちに
「あ、僕が(私が)使ってるのと同じ〜♪」と思ってほしくて。

いずれ、どこかでお目にかけることもあるかも知れない。
その時は楽しんでもらえると嬉しいな。


 

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